丸くやわらかい。

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超神星爆誕と、いち引退勢の所感【デュエルマスターズ・プレイス】

2020年12月。超神星、爆誕す。

 

デュエルマスターズ・プレイス、第七弾拡張パック『超神星爆誕』にて、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》を始めとした“超神星”クリーチャーが登場した。

 

カードゲームとは、とてもとても難儀な世界だ。

ストーリー上でどれだけ強いアピールをされようとも、美しく荘厳なイラストを与えられようとも、性能が低ければ様々な層に「がっかり」と言われてしまう。かと言って強すぎても「ぶっ壊れ」と言われてしまう。難儀な世界だ。

カードゲームの歴史上そうしたカードは数多くあった。"コストが重すぎて実用的でない"というのは、そうしたがっかりカードの歴史の中でもありがちなケースであり、使い難さを美徳としロマンを求める層を除けば、やはり白眼視されてしまうことも多い。ゲームはゲームであり、多くのプレイヤーにとって、ゲームで役に立たないカードを好きになることは難しいのである。

 

デュエルマスターズ・プレイスは紙のデュエルマスターズとは別物という路線で突き進んでおり、それ故にそうした問題に対するクールな解答を用意している。紙のデュエルマスターズのカードをベースとして──盛る。盛るのだ。能力を、盛る。コストを、盛る。性能を、盛る。

 

デュエプレはDCGであり、紙に縛られる必要はない。

デュエプレにおいては、目玉カードとしてかつて刷られたカードの性能が適正だったか否かをデータ的に分析し、強すぎたのならば弱く、そしていまひとつ足りなかったならば、合法的に強くすることができるのだ。これならば、皆がカッコいいと感じる目玉カードをしっかりと環境で活躍させることができる。

主役をゲームでも主役にできる。売る側も強くてカッコいいカードをたくさん売れる。買う側も強くてカッコいい目玉カードを使ってエキサイティングな対戦を楽しめる。バランス調整とマーケティング戦略を兼ねた完璧な手法である。

 

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字が小せぇ……。

 

 

《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》──それは場のドラゴン3体をコストにすることによって戦場に出せる進化V(ボルテックス)クリーチャーであり、コストが重く調整されがちなドラゴン3体に加え、6マナという決して安くない代価を支払うことによって場へと現れる。その支払ったコストの膨大さに見合うよう、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》はそれに重ねた進化元のドラゴン達を消費する"メテオバーン"能力によって、攻撃時にパワーを+15000させる"パワーアタッカー+15000"と、対戦相手の全てのシールドを破壊する"ワールド・ブレイカー"を使うことができる。

 

どれだけ守りを固めようと一撃で対戦相手を丸裸にする能力は豪快かつ劇的であり、漫画版デュエルマスターズでは作中最大の悪役である"ザキラ"が14枚のシールドを一撃のもとに打ち破り、主人公の仲間を倒してしまうという場面で使用された。

……こうしてわざわざ漫画での活躍にまで言及して持ち上げている時点で勘の良い読者諸兄は気付いているかもしれないが、残念ながら大会などの競技的な場での出番は多くはなかったようだ。勿論、カード自体のカッコよさに惹かれたプレイヤーは多かっただろうが。

 

と、ここまでは紙の話。ここからはデュエプレの話だ。

 

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 一般的にコスト軽減や防ぎにくく致命的な効果を付けるとカードは強くなると言われている。

 

 

デュエプレ特有の大改造である。紙からデジタルに移行する際に、数多のカードと同じように、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》もまた近代化改修が施される。

まず、「もうコストが重いなどと言わせない」と言わんばかりにドラゴン1体につきコストが1低下する"シンパシー:ドラゴン"がテキスト欄に追加された。進化条件を満たした状態で既に素の6マナから3マナに減っており、状況次第では最小1マナまでコストを削減できるようになった。確かにドラゴン3体並べて更に6マナを要求するのは重すぎたとはいえ、ここまで軽量化されるものなのだろうか?

 

メテオバーン能力の"パワーアタッカー+15000"と"ワールド・ブレイカー"は統合され、素の状態でパワー30000の超法規的スタッツとワールド・ブレイカーを持つようになった。代わりにメテオバーン能力は「相手のシールドを全てブレイクする」に変更されている。

意味するところは"攻撃したときの誘発型能力ですべてのシールドがブレイクされる"というものである。具体的には《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》の攻撃指定を行う、メテオバーン能力で防御側プレイヤーのシールドが根こそぎ破壊される、パワー30000ワールドブレイカー持ちの《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》の実際の攻撃が行われるというものであり、回避不可能のシールド全破壊の直後にブロッカーを立てるか、シールドを増やすか、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》そのものを除去することができなければ──勿論、彼自身の攻撃が本体に通って一撃のもとにプレイヤーが蒸発し、ゲームエンドとなる。

 

また、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》は所謂ピン除去に対して一定の耐性を持っている。"相手がこのクリーチャーを選んだ時、相手のマナゾーンにあるカードをすべて墓地に置く"という能力だ。これにより、クリーチャーでの盤面の取り合いを行わない除去コントロール系デッキに対して滅法強くなっている。

これは原典のカードも持っていた能力であり、恐らく多大なコストを支払って出した彼がピン除去1枚で跡形も無く消え去るのは幾らなんでも可哀そうだろうという粋な計らいから付けられたのだろう。除去にリスクを持たせることで最低限の働きを保証するというデザイン手法だ。当時のデザイナーはデュエルマスターズが電子化されるにあたって、これが1マナで出せるようになるなどとは当然ながら想像もしていなかっただろうが……。

 

 

……。

 

 

ここまで淡々と説明してきたが、やはりこれはおかしいのではないだろうか。

いくらなんでもおかしい。一個人の意見としてはおかしいとは思うのだが、聞くところによると、デュエプレの運営はなかなか良い仕事をするらしい。一個人と大企業の調整チームではその信頼度の差は歴然だ。だとすると、一見異常なこのカードは実は適正なのだろうか? そんな疑問を胸に筆者もデッキを組み、デュエプレの《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》は本当におかしいカードなのかを検証することにした。

 

ドラゲリオン系の必須パーツは赤に偏っており、使い手の好みによって幾つも亜種が生まれている。

基本的には赤をベースに青黒白から1~2色を選ぶという形で、青ならば追加の3マナ域かつアドバンテージ源である《リップ・ウォッピー》に加え《蒼神龍ノースグレイ》や《アクア・サーファー》といった脇を固めるカードが採用でき、黒ならば《ファントム・バイツ》《デーモン・ハンド》などのピン除去と、スレイヤー持ちの《神滅翔天ザーク・ゼヴォル》などがデッキに入る。白は《予言者リク》《光神龍ベティス》《ホーリー・スパーク》といった防御的なシールド・トリガーを増やせる点がポイントだ。

 

今回の筆者の使用デッキは【赤白ドラゲリオン】だ。"ドラゲリオンに寄せた構築"と"防御行動はシールド・トリガーに任せる"という点を念頭に置き、ブン回り的な動きが求められるコンボデッキにおいて3色と2色の安定性の差は思いのほか大きいという経験則も加味して総合的に判断した結果、ドラゲリオン系統のデッキの中でも最も純粋なコンボデッキである(ように筆者からは見えた)赤白から試すべきだと思ったからだ。より防御的なカードを増やしたり、アドバンテージ源が必要になったならばその時に色を足してまた試せばいい。

 

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結果としては、勝率約60%、第三弾を最後に随分このゲームから離れていたのでプレイングにミスもあったとは思うが、そんなこと関係なくデッキを握って3日でデュエルマスターになってしまった。道中でやや停滞したタイミングもあったが、十全に強力なデッキと考えていいだろう。

3ターン目に《コッコ・ルピア》、4ターン目に《センチネル・ドラゴン》2体と《バルケリオス・ドラゴン》、5ターン目に《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》でフィニッシュという使用カード4枚(!?)での5キルも頻発しており、筆者としてもこの三日間で《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》の"終わっているカード感"を存分に感じることができた。

 

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回っている場合、3ターン目からはこんな感じでゲームが進み、そして死ぬ。

 

 

ただ、結局のところ5キルなんてものは、先述の超神星の彼と同じように異常な強化をされた《クリスタル・ツヴァイランサー》を擁する【青単リキッドピープル】などにもできることだし、ブロッカー偏重のデッキ──例えば《ヘブンズ・ゲート》を軸にしたデッキにあっさりと詰まされることもあった。シールドトリガーをいくら増やしてもアグロデッキに負ける時は負けるし、少し手緩い動きをした途端、超新星の同期でもある《超神星マーキュリー・ギガブリザード》や《超神星ヴィーナス・ラ・セイントマザー》を先出しされて負けというケースも大いにある。

 

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別に壊れはドラゲリオンだけではなかったという話。

 

 

周囲のデッキのシールドトリガーのチョイスは明らかにドラゲリオン系デッキを意識して調整されているものが多く、筆者のデッキにも採用されている《予言者リク》《光神龍ベティス》のようなカードのほかに、"対象を取らない除去"として《アポカリプス・デイ》を採用しているデッキなども見受けられた。コントロール系の他にも《ダイヤモンド・ブリザード》の復帰力・アドバンテージ力を頼んで【緑白スノーフェアリー】にも入っていたため、《アポカリプス・デイ》がドラゲリオン系に対するジョーカーだという点は周知の事実なのだろう。《ヘブンズ・ゲート》系のデッキは《アクア・リバイバー》を延々ブロッカーに回す事で延命する手段としていたり、既にある程度の対策は確立されているようである。

 

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トリガーのチョイスでメタの変遷が分かるのはこのゲームの面白い所だと思う

 

環境デッキとしては、一撃必殺の【ドラゲリオン】系、コスト踏み倒しで一気にケリをつける【4cヘブンズ・ゲート】。更に【青単リキッド・ピープル】【青白グレートメカオー】【緑赤ドリームメイト】【緑白スノーフェアリー】のような小型クリーチャーを横並びさせるデッキ群。そして、豊富な除去で受け切り勝利する【赤黒青ゲートサファイア】【赤黒青ドラゴン】などが確認できた。

 

完全なコンボデッキである【ドラゲリオン】を中心とし、"超神星"や《クリスタル・ツヴァイランサー》によって通常の横並びデッキを逸脱した存在である【青単リキッド・ピープル】と【青白グレートメカオー】はコンボデッキ寄りに位置する。横並びさせて愚直に小型クリーチャーで攻め立てる【赤緑ドリームメイト】と【緑白スノーフェアリー】はアグロデッキだ。それに【赤黒青ゲートサファイア】【赤黒青ドラゴン】ような純正コントロールと、コンボとコントロールの中間的存在である【4cヘブンズ・ゲート】が存在し、大まかなメタゲームとしてはアグロ・コンボ・コントロールでの均衡がとれているように思えた。

これらのカテゴリー間でジャンケン的な三すくみが成立しているように見えて、実際やってみるとアグロとコンボの中間的存在だとか、コンボとコントロールの中間的存在のような微妙な立ち位置のデッキが多く、機械的なカテゴリー分けの通りに勝敗が決まる事が少ない上、マリガンが無い事とシールドトリガーの存在という二大振れ幅システムのおかげで捲れ方次第でワンチャン、有利不利が存在しつつもチョキがグ―に勝つ可能性が残されている──というような形だと考えられる。

 

 

……。

 

 

あれ? 普通に良ゲーなのかこれ?

ここ数日の経験をこうしてタイピングしながら首をかしげる。纏めてみると意外とバランスが取れているゲームで、《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》も実際のところはここまで盛ってもまだ議論の余地のある強力なフィニッシャーという立ち位置に収まっているように思えた。やらないと分からないものである。

やはりデュエプレ運営は今回も良い仕事をしたのだろうか? そうかもしれない。筆者一人の考察が正しいかどうかはともかくとして、思ったより遥かにまともにゲームになっていたことだけは確かだ。

 

さて、色々と大味ではあるが、実際にメタゲームが成立している事は筆者がこの目で確認した。筆者の周りにも【ボルコン】同型に飽き飽きしてすっかり辞めてしまった友人もいるわけだけれど、そのころよりも随分と豪快で、(デュエマをあまり知らない筆者が言うのも何だが)デュエマっぽいゲームが増えたように思う。ついでに言えば現在発売中の最新パックである第七弾を剥くだけで先ほど紹介したような【ドラゲリオン】【青白グレートメカオー】【緑赤ドリームメイト】のような環境デッキが組めるようになっており、1周年記念のパック配布もあと数日後に控えている。

デュエプレ一周年記念の折に、一度引退したプレイヤーの皆さんも軽く復帰してみるのはどうだろうか? 

 

何事もやってみないと分からない、そう反芻する筆者なのであった。