丸くやわらかい。

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交流会を経て【ヒュージリーダーズ】

11月28日、ビッグマジック主催でヒュージリーダーズ交流会が行われた。ヒュージリーダーズは前回紹介してからというもの、筆者の想像よりも更に大きな反響があった。各地で盛り上がりを見せており、関西でも交流会が開かれているそうだ。大手ショップが流れに乗ってくるのも、遅かれ早かれ必然であるとも言えた。仕掛け人のような立ち位置になってしまった以上、筆者もこの交流会には必ず参加しなければならないという使命感を感じていた。

 

交流会と銘打ってはいるものの、これは殆ど大会に近い集まりだ。ヒュージリーダーズ界隈のデータ集めという側面もあるため、勝者は勝者と卓を囲むわけだが、そうなると必然的に上位卓はコミュニティの研究成果を発表する場となる。我々とて勧めた側な以上それなりにヒュージリーダーズについての研鑽はしているつもりだし、カジュアルフォーマットに真摯に取り組むことが取り柄の集団として、詰めきれていないデッキで出るのはポリシーに反する。第一に勝つこと、十分にブラッシュアップしたデッキを持って参加すること。

そして、“壊れた”戦術を見つけてくる──有り体に言えば、“禁止に値するカードを周知する”を目標にデッキ構築が始まった。

 

と意気込んだものの、「結構バランスが取れているように見える」とされたヒュージリーダーズの既存プールでそこまで壊れた戦略を見つけ出すのは難しいように見えた。焦点はやはり最新セット、統率者レジェンズである。そして、実際に統率者レジェンズには、ヒュージリーダーズに見識あるプレイヤーが口を揃えて危険と評したカードが存在する。

 

《東の樹の木霊》である。

 

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ヒュージリーダーズはカードの要求コストが大きいために、通常のマジックのように1ターンに2アクション3アクションとテンポ良く動けるわけではない。《荒地》セットに2枚目の土地が連鎖し、大型クリーチャーに更なる大型クリーチャーが連鎖する《東の樹の木霊》の展開力は、「1ターンに複数アクションしにくいために、手札を使い切りにくい」というヒュージリーダーズの常識に染まったプレイヤーの目には衝撃的なカードとして写ったのだった。《東の樹の木霊》がいる状態で《約束の刻》から《死者の原野》とバウンスランドをサーチするだけで(一応土地の枚数という条件はあるものの)無限トークンが完成することも大きな評価点だった。

筆者のコミュニティ内では瞬く間に《東の樹の木霊》を統率者にしたコンボデッキの開発が複数人で同時並行的に始まり、幾つかのタイプのデッキが完成した。

そうした中、筆者は《東の樹の木霊》と《ルーデヴィックの名作、クラム》を統率者に、統率者レジェンズで増えた続唱系のカードに注目したデッキを試す事にした。

 

続唱は元から強力なメカニズムだが、ヒュージリーダーズにおいては、「5マナ以上のカードしか使えない」というルールそのものが続唱を悪しきメカニズムたらしめている。

ヒュージリーダーズにおいて続唱は外れる事がない。問題は、統率者レジェンズで増えた6マナの続唱カードたちだ。5マナ域を絞ることで、これらで狙ったカードだけを捲る構築ができる。単純に続唱の枚数が多くなった事で、より大きな続唱カードから連鎖する確率も高くなった。

当然ながら《意思の力》のような妨害をある程度諦めないといけないが、逆に言えばその程度のリスクを負うだけで続唱をある程度コントロールすることができる、というわけだ。過剰にデッキを歪ませる必要も、デッキ内の土地を大量に増やす必要もなく、容易にソリティアが可能になってしまった。

 

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捲れる5マナのカードがもう少し弱ければマシだったかもしれないが、残念ながらそんなこともない。

筆者のデッキでは5マナカードは《流浪のドレイク》《不実》《金粉の水蓮》《約束の刻》《袖の下》の5枚に絞っており、《袖の下》は事実上の2枚目の《流浪のドレイク》見込みだ。

特に、《逆嶋の手下》から捲れた時が最悪で、《流浪のドレイク》《不実》《袖の下》なら虚空から10マナ以上が発生し、《金粉の水蓮》なら恒久的な6マナ加速。《約束の刻》ならば《睡蓮の原野》のような複数マナが出る土地を探し、増やすことで更にソリティア成功率を上げることができる。

こうした構築では必然的に必要な色は赤青緑の三色になる。《ルーデヴィックの名作、クラム》はもちろんカラーマーカーに過ぎない。青と赤がどうしても欲しかったのだ。

 

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続唱からのチェインコンボはあまりにも速く、強く、安定しすぎていた。

1人回しと何度かの友人とのスパーの結果、チェインコンボが改良により安定していくにつれ《東の樹の木霊》も《ルーデヴィックの名作、クラム》も出している余地がなくなり、勝利に貢献する事もなくなってきた。そこで、統率者は《大渦の放浪者》に変更し、統率者のキャストのみでチェインコンボを始められるようにした。

 

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妨害が無ければ《大渦の放浪者》を出しただけで概ねゲームは終了するようになり、ようやくこのデッキは完成に至ったと言える。筆者は、最強デッキができたかもしれん、これはすごいぞとDiscordの通話で大騒ぎしながら朝まで1人回しをし、そのままの勢いで電車に乗り込み秋葉原へ向かうのであった。

 

 

期待通りの全勝である。

禁止カードも出てデッキも解体する形になってしまったので、解説はもはや不要だとは思う。

ヒュージリーダーズについての問題点、懸念点はある程度周知の事実であり、交流会の結果をもとに、素早く禁止改訂が行われた。下記改訂文にも一度目を通しておくことをお勧めする。

 

sites.google.com

 

改訂の内容としては、《ドリーム・ホール》《巨智、ケルーガ》《流浪のドレイク》《不実》の禁止だ。だが、こうしたテコ入れを行っても、依然として色の不均衡の問題は残されているように思う。

ヒュージリーダーズを研究している他のコミュニティと会話をした際に「白と黒に(勝ちに行く上で)使いたいカードが全然ない」という言葉を聞いた。これはかなり真実に近いと感じていて、筆者のコミュニティでも白と黒を用いたデッキ(5色は除いて)は青赤緑(特に青緑)と比較すると著しく少なかったように思う。というよりは、青緑が強すぎる、と言ってもいい。

以前の記事で紹介した《不連続性》《覆滅+複製》と《睡蓮の原野》のコンボや、同様にマナ加速では《開拓+精神》もある。無限マナからのドローソースとして《巨智、ケルーガ》がノーリスクで採用できた点が是正されたとしても、《狙い澄ましの航海士》が禁止されたわけでもない。まだまだ青緑に大きなアドバンテージがあるのは確かだろう。

このフォーマットができたころから色の不均衡は色の不均衡として確かに存在していたわけだが、当時はある程度許容されていたのも事実だ。もしかしたら単に研究不足によるものだったのかもしれないが、プレイヤー側の見解としては、概ね統率者レジェンズによる環境変化が不均衡が激しくなった原因と見ている。

 

1ターンに2アクションを取ることの重みは、ヒュージリーダーズと通常のフォーマットでは全く違う。先に説明した《流浪のドレイク》を始めとしたフリースペルや続唱、更に言えば《東の樹の木霊》や《大渦の放浪者》もそういった類なのだが、5マナ、6マナ、7マナと1アクションだけし続ける事が常識……いや、それがフォーマットの意図ですらあるヒュージリーダーズではその重みは全く変わってくる。基本的に2アクションできるカードは強いと思った方がいい。

まぁそのくらいは殊更に強調せずとも分かる事なのだが、《急嵐のトリクス》を用いたカウンターデッキが存在感を示していたのは少なくともカウンターを撃っていれば一通り止められたからであって、続唱を止めているだけで手札が尽きるような状態ではカウンターデッキを握る必要性が薄くなってしまう。淡々とカウンターされるばかりのゲームは面白くないという意見も確かにあったし、筆者もそう思ってはいたが、やはりMTGにおいてカウンターは環境を健全に保つために最低限必要なものなのだと思う。これは統率者レジェンズによって続唱が大幅に増えたことによる弊害だろう。

 

依然として《召し上げ》が通ればゲームは終わるし、《頂点壊滅獣》はカウンターに耐性を持ちながら狂ったアドバンテージを叩き出す。フリースペルもまだまだ残っている。

白や黒にこうしたカードが存在するかと言えば──上記の禁止改訂文で軽く触れられているように、残念ながらまだ発見されておらず、かと言って現状それらを止めるためのカードも無いためにストッパーとしての役割も持てていないのだ。その上で赤緑青が大幅に強化を受けてしまったのだから、どうしても環境はそちら側に傾いてしまうだろう、というのがプレイした上での所感である。

 

そうした中で、言い出しっぺとしてよく分からないまま責任者になってしまったN氏は非常に的確で、納得できる形の禁止改訂をしてくれたと思っている。禁止改訂文の内容の端々から、少ないプレイヤーの声をしっかりと聴いてフィードバックを行ってくれている事が分かる。データがどうしても少なくなってしまう以上は時間はかかるかもしれないが、こうした小さな積み重ねと研究の繰り返しでこのフォーマットもどんどん整備され、良くなっていくだろう。

 

現在、公認イベントの禁止など良くないニュースが飛び交っており、今後テーブルトップ、その上カジュアルフォーマットと来てしまっては、どうしても今までのように盛り上がるのは難しくなってしまうだろう。公認イベントの自粛要請の直前にヒュージリーダーズ交流会を間に合わせることができたのは奇跡と言ってもいい。

ただ、それでもこうした「変なフォーマット」に14名ものプレイヤーが集まってくれたのはとても大きな事のように思うし、禁止改訂によってまた研究の余地が生まれたことも確かだ。旧枠モダンの時と同じように、いちプレイヤーとして微力ながら盛り上げることができたら、研究の成果を表に出す事で貢献できれば良いと思う。