丸くやわらかい。

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青と白とフィニッシャーと。

皆、コントロールデッキは好きだろうか?

 

 

皆、打ち消しは好きだろうか?

 

 

追放除去は? ドローは好きだろうか?

 


大量の打ち消しと除去で対戦相手のあらゆるアクションを否定するのは好きだろうか?

 


君が直接手を下す前に、圧倒的なリソース差に勝負を諦めた相手が投了するのを見るのは好きだろうか?

 


何一つしたいことができない相手がアンタップアップキープドローエンドと小さく呟くのを聞くのは好きだろうか?

 


これは予想に過ぎないが、3〜4人に1人くらいはこの問いかけに対して「大好きだ」と胸を張って答えるプレイヤーがいるのではないかな、と思っている。

勿論、それについて私は性格が悪いなんて思わないし、言うつもりはない。

デッキの性質と乗り手の人間性を結びつけるなどナンセンスこの上ない話だ。

まぁ、慣れた相手に対して冗談で悪態をつく事は少なからずあるが。

 

 

青いコントロールデッキはマジックの醍醐味のひとつで、熱心な愛好家は多い。赤単や黒単のようにある種カルト的な人気を博しているが、その性質から憧憬や愛情と同じくらいに憎悪を向けられることの多いアーキタイプでもある。

 

 

読者の皆の行きつけのショップにも、いつも打ち消しを構えているマジック歴10年20年のベテランコントロールユーザーが一人くらいはいるのではないだろうか?

同時に、青の入ったコントロールを嫌いと言って憚らず、常に青を倒すべくサイドボードを組むようなプレイヤーも一人くらいはいるのではないだろうか? 

 


かくいう私はその前者に憧れ、環境が変わる度に「この環境こそ青白コントロールが強いんじゃないかな?」と考えてデッキを組んでいる。
知っての通り、私はさほどゲームの腕前の方はよろしくないので、だいたい0-3して解体の憂き目に遭うのだけれど。

 


どうも私は徹底的に守り続けるデッキが苦手なようで、ゲーム仲間たちからは「向いてないね。違うデッキ使った方がいいよ」と毎シーズン言われている。
と言われても、好きなのだ。ミッドレンジやクロックパーミッションの方が向いている事は重々承知しているが、好きなのだから仕方ない。
相手の攻め手を躱し続け、致命的な所を的確に封じ、隙を見てアドバンテージを稼ぎ、圧倒的なリソース差を作る。徹底的にゲームをコントロールして、最後にフィニッシャーを出して勝つ。
あるいはどうやってもひっくり返されない状況を作って相手に敗北を認めさせる。

 

 

カッコイイ。抗いがたい魅力がある。

 


今回はそんな青白コントロールについて語っていこうと思う。

 

 

さて、どこから話を始めよう。

それなりに文量のある読み物にしていくつもりだし、折角だから昔話から始めようか。

 

 

読者の皆はこのデッキを知っているだろうか?

 

 

Creature 0

 

Spell 31

4 《対抗呪文/Counterspell》

4 《雲散霧消/Dissipate》

4 《意志の力/Force of Will

2 《渦まく知識/Brainstorm

2 《中断/Abeyance》

4 《神の怒り/Wrath of God》

3 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》

1 《解呪/Disenchant》

2 《沈黙のオーラ/Aura of Silence》

2 《ジェラードの知恵/Gerrard’s Wisdom》

2 《鋸刃の矢/Serrated Arrows》

1 《Soldevi Digger》

 

Land 29

11 《島/Island》

8 《平地/Plains》

2 《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》

4 《Kjeldoran Outpost》

4 《Thawing Glaciers》

 

Sideboard

1 《黒の防御円/Circle of Protection: Black》

3 《解呪/Disenchant》

4 《水流破/Hydroblast》

3 《政略/Political Trickery》

1 《臨機応変/Sleight of Mind》

1 《聖なるメサ/Sacred Mesa》

2 《Helm of Obedience》

 

 

そう、“カウンターポスト”だ。

 


Magic:The Gatheringに触れ、その歴史に興味を持ったプレイヤーならば誰もが知る名である。知らないなら、折角だから覚えてから帰るといい。

アイスエイジ・ブロックとミラージュ・ブロックの辺りに活躍したデッキで……と言われてもピンと来ないかもしれない。MTGwikiに載っているサンプルレシピは日本選手権97のものだから、22年も前のデッキだ。

現在絶賛刊行中の「すべての人類を破壊する。それらは再生できない」の舞台よりも更に1年前。当時私は4歳。マジックも4歳だ。

 

 

言ってしまえば、現代の青白コントロールのおじいちゃんのおじいちゃんのそのまたおじいちゃんの……といった形の古代──いや、神話の時代のデッキであり、除去とカウンターを軸に相手を徹底的に妨害して勝利する低速コントロールデッキの起源と言える存在だ。
最強最長のコントロールデッキの代名詞として、はたまた悪名高いパーミッション戦略の先駆けとして、カウンターポストの名は今も風化せず歴史に残り続けている。

 


悪名高い――何故こんな表現をしたかと言えば、現代に伝えられるカウンターポストについての伝説は輝かしいものばかりではないからだ。

むしろその逆で、「あのデッキは最悪だった」というような逸話ばかりが残っている。
誰もが認める当時のマジックにおけるトーナメントシーンの悪役であり、史上屈指の邪悪なデッキ。
少なくとも、今現在インターネットに残された資料や思い出話にはそういった書かれ方をしている場合がほとんどだ。

 


白という色の歴史――いや、現代までのマジック26年の歴史で生まれたあらゆる追放除去の中でも最強の称号をほしいままにする“ソープロ”こと《剣を鋤に》

戦場に展開された全てのクリーチャーを破壊し、再生すらも許さない、元祖全体除去呪文。“ラスゴ”こと《神の怒り》

遥か古の時代から現代に至るまで数多くのプレイヤーに使われ、ありとあらゆる呪文を打ち消してきたカウンターの中のカウンターForce of Will《対抗呪文》


加えて、当時のクリーチャーの質は現代よりも遥かに低い。なるほど、これだけ揃っていれば究極のコントロールデッキが生まれるのも道理だろう。

 

 

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マジックの歴史そのものであるとすら言える妨害カード群。そうそうたる顔ぶれである。
《神の怒り》以外は恐らく二度と同レベルのカードは刷られないだろう。

 


除去する。打ち消す。除去する。打ち消す。打ち消す。打ち消す──

 


大量に積まれた妨害札を打ち込み続ける、真の意味での「コントロールデッキ」、それがカウンターポストだった。

勝ち手段は1/1の兵士を1体だけ生成する土地《Kjeldoran Outpost》と、墓地の一番上のカードをライブラリーの一番下に戻す《Soldevi Digger》

《Soldevi Digger》によってライブラリーアウトで負けるという「時間制限」を取り払い、決してひっくり返されないような状況を作り出した上で、初期ライフ20点に加えて《剣を鋤に》で与えたライフを全て1/1の兵士トークンで気長に削っていくのだ。

 


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《Outpost》はともかく、《Digger》をフィニッシャーと称するのはマジックならではだと私は思う。

 

 

相手をしていて愉快なデッキでなかった事は容易に想像がつくが、それでもカウンターポストはマジックの歴史上非常に重要な立ち位置にいる。

ゲームを決めるためのフィニッシャーに割く枠を必要最低限のレベルにまで抑え、打ち消しと除去とドローで永遠と見紛うようなロングゲームを仕掛けていく、青いコントロールデッキの戦略を決定付けた偉大なデッキだと言えるだろう。

 

 

そうした極端なコントロールデッキが好成績を残したケースはマジックの歴史上何度かある。

 

 

時代は飛んで、ラヴニカの回帰~テーロス・ブロック期のプロツアー2015。

スロバキアの強豪プレイヤー、イヴァン・フロック氏の駆るアゾリウス・コントロールもそういったケースの一つだ。

 

 

マジックの様々な拡張セットの中でも特に人気のある次元、2色の組み合わせにより構成される10のギルドが覇権争いを繰り広げる都市次元ラヴニカを舞台にした「ラヴニカへの回帰」は大成功をおさめたエキスパンションだ。

 当時は誰もが“あの”ラヴニカへの再訪に心を踊らせていたし、今現在の我々が冷静に評価を下したとしても、評価者の殆どが「ラヴニカへの回帰」は素晴らしいエキスパンションだったと答えるだろう。

当時の熱狂ぶりに筆者もワクワクしていたものだ。

 

 

マジックのエキスパンションの成功の秘訣は単純明快。ユーザー人気に裏打ちされた魅力的な世界観と、同じく魅力的で強力なカードによるものであり、ラヴニカへの回帰にはその両方が揃っていた。カードゲーマーたちを惹き付けるのに、他に何が必要だと言うのだろう?

だからこそ、ショックランドの再録を始めとして、ウィザーズはここぞとばかりに優秀なカードを次々とこのセットに投入したのだ。

 

 

ラヴニカへの回帰でフィーチャーされた5つのギルドの内のひとつ、青白を司る法と秩序の番人、アゾリウス評議会。

評議会の強力なリアクションカードを軸とした青白ベースのコントロールデッキは、ラヴニカの回帰発売からスタンダード落ちまでの二年間を余すことなく駆け抜けた。

特に、《瞬唱の魔道士》や《修復の天使》を擁するイニストラード・ブロックと入れ替わりで「テーロス」がスタンダード入りした後の青白は、古き良き重コントロールそのものだったと言っても差し支えないだろう。

 

 

《アゾリウスの魔除け》《至高の評決》《拘留の宝球》《スフィンクスの啓示》らに二年間苦しめられ続け、今もなお評議会を憎んでいるプレイヤーもいれば、時代が変わり令和になっても下の環境でまだまだそれらを使い続けている愛好家もいる。

 

 

良くも悪くもプレイヤーにその強さを印象づけた、青白コントロールの存在感が特に強かった時代である。

 

 

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冷静に考えるとこれらが全て同じエキスパンションに入っていたのは相当異常である。
憎悪と愛情を同じくらい向けられたこれらは現在もパイオニアで活躍中だ。

 

 

青白コントロール自体はカードプールの広がりと共に立ち位置は悪くなっていった。

 

 

猛烈な対策カードであった《燃え立つ大地》のカードプール入りによって青白に更に一色足す事にリスクが生じたし、新セットでパーツが増えない青白に対してそれ以外のデッキには新セットが出るたびに強化や対策カードが増えていった。

勿論、その上で青白は非常に強力なアーキタイプの一角ではあったのだが。

 

 

そうした流れの中、イヴァンはこれらのパーツを用いて妨害に特化した古風な純正アゾリウス・コントロールを構築し、プロツアーに持ち込んだ。

当時の最大勢力は黒単信心。しかし、群雄割拠の下位アーキタイプも豊富なメタカードでトップメタの寝首をかこうと牙を研いでいた頃だ。

その混沌はトップ8の顔ぶれがそのまま縮図となっている。

 

 

構成の異なるジャンド・コントロールが2人、黒単信心に対するアンチデッキといった立ち位置のオルゾフ・ミッドレンジが2人、それに緑ベースのビートダウン組であるナヤ・アグロ、セレズニア・ミッドレンジが続き、バーンまでも存在した。

 

 

個性豊かな顔ぶれが続く中、トップ8にはただ一人の青いコントロール──

プロツアー2015の王者となる男、イヴァンのアゾリウス・コントロールがその威容を誇っていた。

 

 

彼は当時主流であったフィニッシャー《太陽の勇者、エルズペス》や《霊異種》といった、重く決定力のあるカードをメインボードに1枚も投入しなかった。

メインのフィニッシャーたりえるカードは、そう呼ぶにはあまりにも貧相な、たった2枚の《変わり谷》。

長い時間守り続けてようやく使うことができる《思考を築く者、ジェイス》の奥義。

そして、一枚挿しの《不死の霊薬》。

 

 

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この二枚が《Outpost》と《Digger》に重なって見える。 

 

 

当時の反響を私は今も鮮明に覚えている。

ある人は並み居る強豪を打ち倒して優勝を勝ち取ったイヴァンを純粋に祝福した。

ある人は時間制限のないプロツアーだからこそやれた芸当なのだと冷静に分析した。

ある人はこれに感化されて青白コントロールが増える未来を憂い、

ある人はかつての面影を見てカウンターポストの再来だと言った。

 

 

Azorius Control

 

Creature 0

 

Spell 34

3 《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》

4 《至高の評決/Supreme Verdict》

3 《次元の浄化/Planar Cleansing》

3 《予言/Divination》

4 《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》

4 《解消/Dissolve》

4 《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》

4 《急かし/Quicken》

2 《今わの際/Last Breath》

2 《中略/Syncopate》

1 《不死の霊薬/Elixir of Immortality》

 

Land 26

4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》

4 《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment

2 《アゾリウスのギルド門/Azorius Guildgate》

2 《変わり谷/Mutavault》

1 《天啓の神殿/Temple of Epiphany

1 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》

6 《島/Island》

6 《平地/Plains》

 

Sideboard
2 《今わの際/Last Breath》

4 《ニクス毛の雄羊/Nyx-Fleece Ram》

1 《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》

1 《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept》

1 《神討ち/Deicide》

2 《払拭/Dispel》

2 《反論/Gainsay》

2 《テューンの大天使/Archangel of Thune》

 

 

フィニッシュ手段があまりに乏しいために決勝トーナメントの3マッチで9時間かかったと伝えられるカウンターポストは青白コントロールの精神そのものだし、勝ち手段を最低限に抑えて妨害の層を極限まで厚くし、見事プロツアー優勝を勝ち取ったイヴァン氏のアゾリウスコントロールからは最早美しさすら感じる。

 

 

ここまで極端なケースはレアだが、実は最近も似たようなコンセプトの青白コントロールが登場している。

 

 

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「例のハゲ」と言えば彼。異常な強さも納得のバックボーンを持つ時間魔術師である

 

 

2018年、ドミナリア期はあらゆる環境で青白コントロールを強化した《ドミナリアの英雄、テフェリー》が登場した。

 

 

素のコストは5マナと少々重いものの、出てすぐのプラス能力で土地を2枚アンタップすることで、カードを引きつつその2マナで対応札を構えることができる。

小マイナス能力は「破壊」以上で「追放」並みに強力な「ライブラリーに戻す」除去能力だが、自分自身を毎ターンライブラリーに戻し続ける事で《Soldevi Digger》や《不死の霊薬》と同じようにライブラリー切れを防ぐ技が広く知られている。

 

 

《テフェリー》は直接的に対戦相手のライフを減らすような事はしないが、先述の技に加えて奥義によって相手を詰ませる事ができ、ドローソースとしても一級品の性能を有していた。

 

 

フィニッシャーとドローソースとライブラリーアウト対策を兼ねる、青白コントロールにとって至れり尽くせりのカードであった《テフェリー》は、青白コントロール隆盛の立役者となり、「テフェリーの存在が青白を使う理由になる」「《精神を刻む者、ジェイス》に迫るコントロール用プレインズウォーカー」とされた。

彼はたった一人の力でカウンターポストの思想を受け継いだデッキを現代で成立させ、メタゲームの渦中へと送り出したのだった。

 

 

UW Controll with Teferi

 

Creature 0

 

Spell 33

1  《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》

4 《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》

2 《燻蒸/Fumigate》

3 《一瞬/Blink of an Eye》

1 《暗記+記憶/Commit+Memory》

4 《不許可/Disallow》

3 《本質の散乱/Essence Scatter》

2 《明日からの引き寄せ/Pull from Tomorrow》

3 《残骸の漂着/Settle the Wreckage》

2 《中略/Syncopate》

3 《排斥/Cast Out》

3 《封じ込め/Seal Away》

2 《アズカンタの探索/Search for Azcanta》

 

Land 27

2 《廃墟の地/Field of Ruin》

4 《氷河の城砦/Glacial Fortress

4 《灌漑農地/Irrigated Farmland》

6 《島/Island》

3 《曲がりくねる川/Meandering River》

1 《天才の記念像/Memorial to Genius》

7 《平地/Plains》

 

Sideboard

1 《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》

1 《燻蒸/Fumigate》

1 《霊気溶融/Aether Meltdown》

1 《領事の権限/Authority of the Consuls》

4 《ベナリア史/History of Benalia》

2 《神聖の発動/Invoke the Divine》

3 《否認/Negate》

2 《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》

 

 

さて、こうしてマジックの軌跡を辿ってみると、勝利するための手段を極限まで削ぎ落し、妨害に特化した青白コントロールは何度も歴史に名を残していることが分かる。

 

 

冒頭でも言ったように、こうしたデッキはカッコいいものだ。

正確なプレイングで迫り来る脅威を的確に受け流すのは、カッコいい。

対戦相手の攻め手を封じ、手玉に取るような戦い方は、カッコいい。

 

 

しかし、同時にそれは後の世に語り継がれるような業績でもある。

多くの優秀なプレイヤーが鉄壁と見紛うようなコントロールデッキをあっさりと打ち崩され、下位卓へと沈んでいった事実から決して目を背けてはならない。

 

 

我々は本気で勝ちに来る対戦相手に一度手にした優位をひっくり返されることなくゲーム終了まで維持できるプレイヤーなのだろうか?

 

相手のアーキタイプ、サイドから投入されるカードを一瞬で見抜き、致命的なミスをせず、そのすべてに的確に対処することができるだろうか?

 

我々はマッチの時間切れまでぶっ通しでプレイして大会の終わりまで集中力を保っていられるのだろうか?

 

 

いや、もしかしたらこの記事を読んでいるマジックプレイヤーにも鶴田慶之氏や塚本俊樹氏のようにカウンターポストを油断や慢心なく何時間も淡々と回せる人間離れしたプレイヤーや、イヴァン氏のようなメタゲームと相手の構築を読み切って的確に戦場を支配できるプレイヤーや、八十岡翔太氏のような圧倒的なスキルで盤面をコントロールできるレジェンド級プレイヤーがいるかもしれない。

しかし、99%はそうではない筈だ。

 

 

そうではないからこそ、コントロールデッキにはフィニッシャーというものが要る。

戦場をコントロールしたら、その優勢を奪い返されたり、相手が一瞬の隙をついてコンボを決めたり、致命的な火力呪文を撃ち込んできたり、対処不可能の打ち消されないフィニッシャーが出てきてしまう前に、速やかに勝負を決める必要がある。

 

 

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「あなたは八十岡翔太ではない」とはしばしば聞く言葉だ。

君は八十岡翔太氏ではないし、私もそうだ。

 

 

現代の除去は《剣を鋤に》ほど強力でもないし、万能でもない。

カウンターは《対抗呪文》ほど軽くもないし、何でも打ち消せるわけじゃない。

そしてクリーチャーは2マナクラスでも場に残してしまえばそのまま殴り殺されるほどにインフレしている。 

 

 

《封じ込め》は警戒には無力で、《今わの際》は後半になれば腐る。

《吸収》は色拘束が強く、《不許可》も《悪意ある妨害》も3マナだ。

打ち消されず除去の対象にもならない《殺戮の暴君》には一瞬で殴り倒されるし、

《ゴブリンの熟練扇動者》を2ターン残せばそのまま殺されてしまうだろう。

クリーチャーを流そうにも《変わり谷》と《密輸人の回転翼機》は残ってしまう。

そして今やあらゆるデッキに投入されたプレインズウォーカーは、打ち消せなければただそれだけでアドバンテージ差を広げていく。

1つ1つ対処はできるかもしれないが、もし先に《強迫》や《思考囲い》を撃たれていたら?

《呪文貫き》《払拭》《頑固な否認》で蓋をされていたら?

 

 

そんな現代マジックにおいて、昔よりも多角的に、殺意をもって攻撃を仕掛けてくる相手をライブラリーアウトまでいなし続けるなんて事は並大抵のプレイヤーにはできやしない。

 

 

かつて《霊異種》や《太陽の勇者、エルズペス》が使われていたのは、《龍王オジュタイ》をフルタップで出していたのは、タップインのリスクを背負いながらも《天界の列柱》を4枚入れていたのは、序盤に引いても無力だと知りながら《副陽の接近》を採用したのは、

私たちがヤソでもイヴァンでもチャンプでもワフォタパでも無いからである。

 

 

今はカウンターポストのように徹底的に妨害を撃つ時代ではない――と、までは言わない。勿論、それができるプレイヤーだっている。だが、同時にフィニッシャーを入れる事を恐れてはならないのだと、私は考えている。

 

 

正確なプレイングで迫り来る脅威を的確に受け流すのは、カッコいい。

対戦相手の攻め手を封じ、手玉に取るような戦い方は、カッコいい。

 

 

それは今の自分に実現できる戦い方なのだろうか?

来たる大会を前に、私はそんな事を考える。

 

 

いずれ、名だたるプレイヤーのようにカッコよくコントロールし切って勝つことを夢想しながら――